前回デカールを利用してマスキングする為のデータ作成をAdobe Illustratorで行いました。今回はエッジをよりシャープに出力する為のオーバーカットはマスキングに適しているか?刃出し量やカット圧の設定値で結果がどう変わるのか?成功、失敗例を交えながら紹介します。
出力結果は、刃出し量やカット圧、設定で変化する
カット出力を実行すると、時々鋭角な部分がめくれてしまったり直線が歪んだりしてしまうことがあります。
カット圧が強かったり刃出し量が多すぎて、カッターがスムーズに方向転換出来ない事などが考えられます。
使用する素材や使用用途によりますが、オーバーカットの処理をしておいたほうが、エッジ部分をよりシャープに切り出せて出力結果が良好だと感じています。
オーバーカット処理で結果がどのくらい変わるか?
実際のところ、オーバーカット処理している物としていない物では、どの程度変化が現れるのでしょうか?
結果を比べたいので、サンプルとして両方のデータを左右に並べて配置、下図のような状態にしました。
今回は作例としてオーバーカット処理が目視できるようにしたかったので、手動でエッジ部分を交差させた状態のものを作っています。
刃出し量やカット圧の適正値は?
今回の作業では刃出し量とカット圧の違いによる変化も確認したいので、まず1回目の設定は
- 刃出し量=4
- カット圧=5
- パス回数=1回
にして出力してみました。その結果が下記画像になります。
残念ながら望んだ結果とはちょっと違いました。
原因はおそらく刃出し量の値が大きすぎた事でしょう。
マスキングシールの台紙を貫通し一部が完全に切り抜かれてしまっています。
更にカッティング台紙の方にまでカット痕が残ってしまいました。
オーバーカット処理をしていない左側は、エッジが歪んで更に所々台紙からめくれてしまっています。
オーバーカット処理していた右側は、処理していない左側に比べればマシな結果に見えます。
気を取り直し設定変更して再出力!
次に設定を変えて出力してみます。
2回目の設定は以下のように設定しました。
- 刃出し量=2
- カット圧=2
- パス回数=1回
先程の半分程度の数値に設定してみました。
そして出力した結果が以下になります。
写真だと判り難いですが、オーバーカット処理した方も、していない方もキレイに出力出来ています!設定が上手いこと素材と一致したようです。
不要部分もスムーズに取り除くことが出来ました。
結論としましては、素材に対し適切な設定が出来ていれば、オーバーカットしなくてもさほど気にならないみたいです。
ただ、やはりオーバーカットしたほうがエッジ部分はシャープに見えます。
オーバーカットしてもマスキングに使用できるか?塗装してみよう。
マスキング用にカットした場合、「切り抜いた外側」を使用することになりますよね!
ですが外側の方にはオーバーカットのせいで角の部分に余計なカット跡が残ることになります。
この状態のままマスキングに使ったら、そこから塗料が漏れてしまうのではないか?とても気になります!
せっかく出力したので、実際にマスキングとして使用して塗装してみましょう!
塗装するパーツへ慎重に貼り付けていきます。
特に角の部分は爪楊枝などでしっかりと押さえつけて密着させましょう。
ちゃんと密着出来たか確認したらエアブラシで塗装してみます。
薄く均等にエアブラシで吹いていき、1度で塗り終えようとせず、ムラが無くなるまで2〜3回に分けて吹き重ねると良いでしょう。
塗料が乾いたらいよいよマスキングを剥がします。
ピンセットなどを使用して塗装面に傷をつけないよう、慎重に剥がしていきましょう。
マスキングを取り除いた結果が以下の写真になります。思った以上にきれいに仕上がりました!
結論
今回の検証の結果に限っては、オーバーカットしてもきれいに塗装が出来ました。
しかし今回たまたま塗料の希釈率が適していただけで、濃度によっては滲んでしまう可能性もあると思います。
結論としては、オーバーカットは塗料がはみ出てしまう可能性が捨てきれないのは否めません。
ですので希釈率を見極め、更に念を入れてオーバーカット部分を二重にマスキングテープで補強しておくのが良いのではないでしょうか。
まとめ
今回ご紹介したように、刃出し量やカット圧の設定によって出力結果が全く変わる事が判りました。
使用する素材ごとに適切な値を模索するのは大変ですが、是非ご自身の環境でも色々な素材で最適な設定を探してみて下さい。
今回ご紹介した数値は、あくまで私の環境での値になりますので、参考程度とお考え下さい。
今後も様々な素材に挑戦し、成功例や失敗例をご紹介できればと思います。
この記事で使用しているカッティングマシンはシルエットカメオ2です。
Cutting Master 3以降には、標準でオーバーカット機能が搭載されているようです。
もちろん有料プラグイン『silhouette CONNECT』や付属ソフト『Silhouette studio』では標準機能となっています。